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書いちゃいました、短編小説-車道楽の悲哀-

3 外車ディーラーの洗礼

実は2012年だったかに、一度M3のセダンのマニュアル車が欲しくて、一人で近所のディーラーを訪れたことがありました。

見積もりを取ってもって帰ったら、あわよくば奥さんが、
「買ってもいいよ、大事に乗ってね」
と言ってくれはしないかとの淡い期待でディーラーを訪れましたが・・・

玉砕しました。

一般市民の私に対して、高級外車ディーラー様の仕打ちは、あまりに残酷でした。

実は我が家は、今までほとんどすべて、町の車屋さんを通して車を購入しています。それは、こんなエピソードがあったからです。

30年以上前に父が自分へのご褒美にフォルクスワーゲンゴルフがほしいと、家族総出でヤナセに行きました。

親戚が10年以上乗ったぼろぼろのスプリンターをお下がりでもらったものを父が乗っていて、家族5人でその車に乗車してヤナセに行きましたが、最後までカタログすらくれませんでした。受付嬢も最後まで目もあわせてくれませんでした。

「あの~、カタログいただけませんか。」
「はいはい、必要になりましたらおっしゃってください」
いや、だから欲しいって言ってるじゃないか・・・・・・

まったく小学生のいじめのようでした。当時小学生だった私は、半分ベソをかいて、その晩家族で暗い晩御飯を食べたのを、はっきり覚えています。

夕食時に母が、
「うちのスプリンター、まだ動くのにかわいそうよ。もうちょっと乗りましょう」
と言い、その言葉で、こらえていた涙が一気にあふれてしまいました。

その10年後、父が60歳になって仮退職の退職金が入り、留学時代にドイツで乗っていたのでベンツを、人生最後に乗りたいといいました。そこでまたヤナセに行ったのですが、その時も、ディーラーでは全く相手にされませんでした。

兄のぼろぼろの中古車で家族で出かけたので、そういう仕打ちも仕方ないでしょうが、前回の仕打ちといい、なかなかシュールな体験でした。

父は、
「ベンツは分不相応だからあきらめるよ」
といいましたが、それを聞いた知り合いの町の車屋さんが、メルセデスの190Eの試乗車を手配して試乗させてくれて、めでたく購入にいたりました。

そのときの試乗で、父は結局運転せず、助手席に乗りました。私は後部座席に乗ったのですが、乗ってすぐに、ドアをロックするためロックのピンを押しましたが、ピンが全部中に入ってしまって、びっくりしました。

(わー、壊した)

試乗の間、ずっと、最後まで中に入ってしまったピンが引っ張り出せないかを、必死に試していましたが、ダメでした。

試乗が終わって
「すみません、ドアロックのピンが中に入って出てきません。ごめんなさい、壊しました。」
「それはドアを開けると勝手に出てきますよ」

なんだ、知らなかった。壊してしまったという恐怖で、せっかく後部座席に乗せてもらったのですが、乗り心地も何も全く覚えていませんでした。

ベンツ購入以降、我が家ではどんなメーカーの車も、新車はすべてその車屋さんを通して購入しています。
ディーラーにいって値段交渉をして、最後にその車屋さんに言うと、

「よっしゃ、もうちょっとまけとくよ」
っていって、若干負けてくれます。ディーラーさんにとってはそんな客はよい迷惑でしょうね。

ヤナセもいまやそんな殿様商売はしないでしょうけど、その車屋の心意気がうれしかったので、今でも全部そこで購入しています。

RX7は何度となくオーバーヒートしたりして立ち往生して、そのたびに夜中でもトランポでその車屋さんに拾ってもらいました。

保険もその車屋さんに頼んでいるので、事故の対応でいやな思いはしたことがありません。

そんな苦い思い出も、喉元過ぎたら熱さ忘れて、BMWのディーラーに改造インプレッサで出かけてしまったのです。

そのとき、320iのマニュアル車かM3のマニュアル車が欲しくて、
「あわよくばM3が欲しいな~、見積もりもって帰ったら、奥さん、Ok出してくれないかな」
などと淡い期待を持ちつつ、ディーラーを訪れました。

が、全くダメでした。

そもそも、ものすごい混雑でした。
ショールームに着くなり、320iの試乗希望の旨を使えると、即座に
「待ちのお客様がいっぱいでダメです」
と。

それでもなぜか建物内に通されたが、2階(がおそらくショールーム?)が満員で、1階の端っこでお茶もなしに誰にも相手にされることなく、硬い座面の丸イスに座って待つこと25分。

その後、もう一度どういう要件かの質問をされてさらに待つこと15分。

それで、試乗はかなり待つと告げられて、最後にM3のカタログを欲しいといいましたが、カタログは無いといわれて、帰りました。

320iは2Lターボで、4ドアにも6MTが設定されているので非常に興味がありました。

もちろん試乗車はATでしょうが、足回りの感触とか気になって出かけましたが、いやー、私のような輩がゆくところではなかった。

場違いのオーラムンムンで、非常につらかった。 一人ぼっちで部屋の隅っこで待つ25分が、迷子の子供のような心境でした。

2階はいっぱいですって言われましたが、私の次に赤い1シリーズで来た上品なご婦人は即座に2階に上がっていったし、その後も来る客来る客、みんな2階に通されていました。やはり改造インプレッサオーナーでは、冷やかしの招かれざる客以外の何者でもないのか?

2階はどんな桃源郷なのか?この目の前の階段を上がると私もそこに行けるのか?それともガードマンに阻止されるのか?実際阻止されたらビックリですが。

1週間後に、BMWのディーラーでのシュールな扱い(一切相手にされず、完全無視、放置プレー)の件でセールスマネージャーが職場を尋ねてきました。
「先日は大変お待たせして申し訳ありませんでした。」
とのことです。
M5の試乗をぜひどうぞ、ですって。

コーヒーも出さずに2階のショールームにも通してくれなかったのに、1500万円の車を試乗させてくれるのか?

いったい、なぜに?

と思ったら、私がお金持ちの車好きの知人にディーラーで放置プレーを受けた話をしたら、その知人が高級すし店のカウンターでその話をしていて、たまたまそのディーラーの責任者が隣でその話を聞いていて、翌日あわてて謝りに来たようです。

その時点でM3はカタログには載っていたのですが、結局、セダンは本国へのオーダーはストップしていて、クーペもオーダーストップギリギリの状態だったようです。

もちろん私の希望のセダンの右ハンドルの6速マニュアルなんてオーダーは、出来なかったようです。

そもそも奥さんの許可が出るはずもありません。

だって、車輌本体価格が990万、コミコミ1100万?1200万?でしょうから。値段も性能もちょうどポルシェの911カレラの素のグレードと拮抗したいわゆるエキゾチックカーですから。

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